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暮らしの遊び方(とは文庫)を読んだ

読んだ。一話完結で文量も程よく、時間をかけてゆっくり読みました。いいエッセイでした。

 

暮らしの遊び方 (とは文庫)

暮らしの遊び方 (とは文庫)

 

 



目玉焼きの追究、お風呂の温度についてなど、日常の些細なことに目を向けて書かれたエッセイ。それでも、デザイナーという休みが少ないような忙しい職業でも、この人は毎日を楽しんでるんだなあというのがひしひしと伝わってくる。

 

この石倉さんは、自身のことを「簡単に『その気』になる性分」だと評している。
蕎麦打ち教室に行ったら、まず角材を渡されてめん棒削りから始まったので困った、というエピソードがある。蕎麦を打ちにきたのにめん棒削りからなんて…といいつつも、それでも汗をかきつつあくせく削って磨き、めん棒を作り上げ、「これで打った蕎麦が不味いわけがない!」と、まるで少年のように笑っている。

 

暮らしの中で遊ぶためには、「何ごとにも面白がって興味を持つこと」「ゆっくり回り道をして、その過程を楽しむこと」が大事なのかもしれない、と思った。

 

この本の中で好きなエピソードがあって、「薪ストーブは人を三度暖める」という話がある。ちょっと長いけど、本文から引用する。

「薪ストーブは人を三度温める 」 。西洋には、そんな言葉がある。最初は、森で木を倒し薪に割るとき。実際これは、かなりの重労働だ。二度目は、乾いた薪をストーブで焚いたとき。オレンジ色の炎は目にも温かく、身体にもやさしい。そして三度目。ストーブの上に鍋がかけられ、コトコトと蓋の隙間から湯気が躍る。できあがった温かい料理は心まで温めてくれるものなのだ。
このすべてがストーブの愉しみだと聞いて、なんとステキなことかと感動した。しかし、都会暮らしの人間がマンションの一室にストーブを置くわけにはいかない。それは水槽でイルカを飼うくらいの暴挙である。

なんとステキなことか!!!
石倉さんは、イギリス西部の森の中の洋館で泊まった際に薪ストーブと出会い、そこでいたく感動した。
その後薪ストーブを手に入れるための一悶着があったり、ストーブを手に入れた後のキツい真夏の薪割りがあるのだけど、いよいよ季節がやってくる。「ストーブに火を入れてオレンジの火を眺めていると、自分の中にある遠い太古の記憶がふっと湧いてくるような気がする。」という。

いいなあ、と思った。紆余曲折を経て、回り回って、手に入れたこのゆらめく炎と豚ロースとリンゴの蒸し焼きの甘い香りが、これが幸せなんだろうなと思った。この回り道が楽しい日々で、その芽は日常に転がっている。この回り道は果てしなく続いていく…

 

絶対に将来は縁側と庭と猫を手に入れるぞ!!と決意しました。薪ストーブもいいなあ。